この記事では,2021年開催の有馬記念について基礎データ分析と予想を行う上での論点整理をして行きます。
予想を行う上での論点については,エフフォーリアの距離適性は?やクロノジェネシスの海外帰りの影響は?などの論点について取扱い,順次加筆していきます。
基礎データ
コース傾向
中山芝2500m
スタート後直ぐにコーナーに入るため,スタートで上手く位置取り出来るかが重要。コーナーを6回回るため,基本的に位置取りがしやすい先行馬有利であるものの,ゴール前直線は310mと短いものの,ペースは落ち着きやすくゴール前に坂もあるため捲りも決まりやすい。
過去10年間の枠番別成績
基本的には中枠有利となっている。大外枠は成績が非常に悪くなっているため注意が必要。
脚質別成績
基本的には先行馬有利となっている。マクリも成績は良いがサンプル数が少なく,また後方からの差し馬の成績はそれほど良くないため注意が必要。
出走馬の傾向
過去10年の人気別成績を見ると,1番人気馬の成績が他を圧倒しています。回収率も優秀です。一方で12番人気以下の馬は47頭中1頭も馬券内に入っていません。2500mの比較的距離の長いレースにもかかわらず,人気投票によって出走馬が決定されるため,出走馬の実力差が大きいレースと言えるでしょう。
人気別成績
馬齢別成績は下のようになります。3歳馬の成績が優秀な形となっております。6歳以上の馬の成績は非常に悪いため,基本的には避けた方が良さそうです。
馬齢別成績
古馬混合戦である有馬記念においても3歳馬が活躍していることを考えると,ここでも「古馬の壁」はないことがわかります。「古馬の壁」については下記の記事をご参考ください。
はじめに 10月31日に天皇賞・秋が行われますが、初めての古馬混合戦におけるエフフォーリアと古馬混合戦になってから勝てていないコントレイルが通用するのかということが気になったため、「古馬混合戦における馬齢の影響」を中央競馬の2010[…]
前走距離別成績は,順当に距離が長くなるほど成績が良くなっています。とくに前走2401m以上のレースに出走していた馬は勝率・回収率ともに圧倒的です。
前走距離別成績
過去10年間の前走レース別成績は下の通りです。やはり勝率・回収率ともに目を引くのは前走菊花賞組。サンプルが11頭とすくないものの,他を圧倒する成績を残しています。逆に苦しい戦いを強いられているのは出走数の多いジャパンカップ組でしょう。
一方で,有馬記念3着以内にはいってるという条件を課すと,前走菊花賞組は7頭中5頭が菊花賞1着馬なのに対して,ジャパンカップ組は11頭中9頭がJC2着以下,さらに7頭が馬券外からとなっています。そのため,ジャパンカップ組は前走着順が悪くても馬券内に入りうると言う点ではアリストテレスやシャドウディーヴァ,モズベッロ,ユーキャンスマイルに妙味が出てくるかもしれません。
前走レース別成績(下記以外の前走レース馬は馬券内なし)
・先行馬有利
・1番人気馬の成績が良い。12番人気以下の馬を避けたい。
・3歳馬の成績が良い。6歳馬以上は避けたい。
・前走は距離が長いレースであるほど成績が良い(2401m以上は圧倒的)。
・前走菊花賞組は成績が良い。
・前走ジャパンカップ組は全体としては苦戦してるものの,ジャパンカップにおける成績が悪くても馬券内ありうる。
消去候補:
(馬齢)キセキ,ペルシアンナイト,ユーキャンスマイル
(前走距離)エブリワンブラック
予想上の論点
予想を行う上での論点をそれぞれ検討していきます。論点は順次追加・追記していきます。
エフフォーリアの距離適性は大丈夫か?
エフフォーリアが1着となっているレースは2000m以下であり,2400mの東京優駿ではシャフリヤールにハナ差で破れ2着となっている。シャフリヤールに負けはしたものの,上り3F最速33.4秒であり,スタミナ的には問題無いと思われる。下記のコラムの分析結果の通り今年の3歳世代は全体的にレベルが高く,さらに天皇賞・秋の時には大きく成長していた姿を見ればそこからの更なる成長も期待できる。
2021年11月26日のジャパンカップにて無敗の三冠馬であるコントレイルがラストランを迎えます。三冠馬としては史上8頭目、父のディープインパクトに続き無敗での三冠達成であり、父子無敗での三冠は史上初の快挙、間違いのなく名馬中の名馬といえま[…]
ただし,天皇賞・秋の時には位置取りが悪かったコントレイルと0.1秒差1着であったが,あと500mコースが長ければ上がり3F最速で差してきたコントレイルに差されていてもおかしくはない。
また,3歳馬の前走距離別成績を見ると,前走2000m組はやや苦戦している印象。馬券内安心度という点ではクロノジェネシスに一歩劣るといったところだろう。世代間の争いだけではなく,菊花賞馬タイトルホルダーとの世代内争いも見所である。
クロノジェネシス・ディープボンドの海外帰りの影響はあるか?
クロノジェネシスとディープボンドは10月3日に凱旋門賞に出走しているため,海外帰りによる負の影響があり得る。なお,過去10年の前走凱旋門賞の出走馬成績はサンプルは少ないが下のようになっており,勝率は悪くはないものの回収率は低くなっている。
- クロノジェネシス
クロノジェネシスは3月27日にドバイシーマクラシックに出走し,その3ヶ月後6月27日に宝塚記念に出走している。そこでは疲れを感じさせない走りで2着ユニコーンライオンに2馬身差をつけて1着となっている。
宝塚記念は他の出走馬のレベルがやや低いように思われるが,このときのクロノジェネシスの補正タイム(値が大きいほど速い)は125で同馬の最高タイム。したがって,今回も海外帰りの問題はないと考えられる。海外帰りで人気が下がるのであれば買い。
- ディープボンド
5月2日の天皇賞から4ヶ月半の休み明けでフランスのフォワ賞(G2)に出走し1着となっている。休み明けおよび海外遠征も苦にしない馬だとするならばその海外帰りの問題も小さいか。
タイトルホルダーの東京優駿・セントライト記念は何だったのか?
上述の通り,前走菊花賞組の成績は非常に良い。さらに,前走菊花賞で1着だった馬は5頭中有馬記念で1着3回,3着2回とすべて馬券内に入っている。そのため,今年の菊花賞馬タイトルホルダーは十分に期待できるものの,前々走(セントライト記念)と3走前(東京優駿)で凡走しており,やや安定性に不安が残る。
セントライト記念は13着だったが,終盤前詰まりからズルズル後退していった形。東京優駿6着も外枠だったため逃げ切れず中盤囲まれた形。コントレイルと同様に囲まれるとかかってしまい,本来の力が出せないタイプか?
菊花賞での強い走りを見ればスタミナ不足というわけではない。しかしながら,大外枠となったため軽視したい。
エリザベス女王杯勝馬アカイイトの実力は本物か?
2021年のエリザベス女王杯で,10番人気ながら1着となり,3連単339万馬券の立役者となったアカイイト。このときのアカイイトの実力は本物だったのだろうか?もしくは,まぐれだったのだろうか?
エリザベス女王杯は良馬場で行われ,ミドルペースであったため,追込馬のアカイイトに展開が向いたという訳ではなさそうである。
補正タイム (値が大きいほど速い) によって成長性を見てみると順調にタイムを伸ばし続けているといえる(20戦目で120)。ここからさらに伸ばすことが出来れば勝ち負けの可能性が出てくる。しかしながら,父馬「キズナ」の最高補正タイムは4歳と5歳の時に記録した120である(同じ父馬をもつディープボンドは既に補正タイム122で父を超えている)。アカイイトも同様にスピードの限界が120だとしたら,最高補正タイム125のクロノジェネシスや124のエフフォーリアに勝つことは難しいと考えられる。3着ならばチャンスがあるかといったところだろう。
アカイイトのキャリア順の補正タイム(成長性)