別定戦において斤量を使って期待値を取るためには【斤量は適切なハンデになっているのか? Part2】

「斤量は適切なハンデになっているのか? Part1」では、ハンデ戦における斤量の影響を分析し、斤量は各競走馬の能力差を埋めているとは言えず、適切には設定されていないということが分かりましたそれでは、別定戦においてはどうなっているのでしょうか

このコラムでは、別定戦における斤量のタイム・勝率・回収率への影響を分析しています。基本的な分析の流れはハンデ戦の記事と同じです。まだハンデ戦におけるコラムをお読みではない方は、先に下記をお読みいただくことをオススメします

この記事には、別定戦で斤量を使って回収率を高める条件についても記載しております。是非最後までお読み頂けますと幸いです。

別定戦とは、レースによって斤量(負担重量)を決定する基準(計算式)が決められているレースのことを指します。ハンデキャップ委員会が斤量を決定するハンデ戦との違いはここにあります。

基本的には、馬齢や性別のほかに、獲得賞金額や勝利数によって負担重量が計算されます。ハンデ戦同様に、別定戦でも能力差のあるどの出走馬にもチャンスを与えるために斤量によるハンデを付けるレースですが、その反面、これまでの成績によって単純に勝敗が決まらず、予想が難しくなります。

分析したところ、ハンデ戦とはかなり違う傾向が見られました。そのため、別定戦ではハンデ戦とは異なる馬券戦略が必要となります。それでは、まずはタイムの分析から見てみましょう。

別定戦における斤量のタイムへの影響

初めに、斤量がタイムに与える影響を検証していきます。タイムとしては、距離によるタイムへの影響を除くため、Target Frontierで提供されている補正タイム(補9)を用います。

簡単に補正タイムについて説明すると、補正タイムが大きな値であるほどタイムが速く、100が1000万下のクラスにおける平均的な勝ちタイムとなります。また、0.1秒の差が補正タイムの1に対応していると言われています。

斤量ハンデは適切に設定されているのか(別定戦)?

まずは、単純に斤量ごとの補正タイムの平均値を見てみましょう。もし、別定戦において各競走馬の能力に対して適切に斤量が設定されているならば、斤量ごとの平均タイムには大きな差がないはずです。

表1やグラフを見ると、やや斤量50~52、56~59キロの範囲が高くなっていますが、ハンデ戦に比べると差がありません。グラフも斤量が重くなるにつれて補正タイムが高くなる(タイムが速くなる)右肩上がりのグラフのようにも見えますが、誤差といってもいいでしょう

表1 別定戦における斤量毎の補正タイムの平均値

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つまり、ハンデ戦とは異なり、別定戦では斤量ハンデは競走馬の能力差を埋めるよう、適切に設定されており、実績下位馬にも実績上位馬に勝てるような調整がなされているようです。ハンデキャップ委員会の方々が人力で斤量を決めるハンデ戦と、レース毎の基準により機械的に斤量が決まる別定戦でことのような違いがあるのは不思議ですね。

別定戦における斤量の勝率・回収率への影響

別定戦においては適切に斤量ハンデが決められていることがわかりましたが、勝率・回収率への影響を見てみましょう。

表2は別定戦における斤量毎の勝率・回収率の表・グラフです。勝率・複勝率はバラバラとなっており(サンプルの少ない斤量50キロは別ですが)明確な傾向が見られません。

単複回収率についても残念ながら傾向を見つけることができません。ただ、斤量50キロは単勝回収率369%、複勝回収率163%となっており、サンプルが少なくほとんどレースで見かけることはないとは思いますが、別格です。異常値かもしれませんが、別定戦における斤量50キロの馬を見つけたら積極的に買ってもいいかもしれないですね。

また、斤量55・58・59キロも回収率が高く妙味があるようです。サンプル数も多いので狙い目だと言えます。一方で、斤量51~54、57キロは回収率が低くなっており、危険なゾーンと言えます。別定戦においては、どちらかというと斤量が重い馬の方が回収率が高い傾向があると言えるかもしれません。

表2 別定戦における斤量毎の勝率・複勝率

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条件別:斤量の成績への影響の傾向について(別定戦)

それでは条件別に斤量の成績への影響に傾向がないかを確認してみましょう。ここでは、斤量と成績との関係性に影響を与える様々な要素を同時に検討するために重回帰分析という統計手法を使っています。

表3がその結果を示しています。表中の数字(括弧に囲まれてない方)が正の値であれば、斤量が重いほど成績にプラスの影響、負の値であればマイナスの影響を示します。また、赤字であれば統計的に意味のある数字、黒字であれば統計的に影響がないことを意味しています。

表3 条件別の斤量が成績に与える影響(別定戦)

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まず、芝・ダートについてはダートの行から判断します。この行からは芝に比べてダートだと、斤量が重いほど、補正タイムが遅くなり、勝率が上がっています牡馬に比べて牝馬の場合は、斤量が重いほど、補正タイムが遅くなり、複勝率がわずかに上昇します。また、距離が長くなるほど、斤量の影響が出てタイムが遅くなるようです。馬場状態は斤量と成績の関係に影響を与えていません。

なぜタイムが遅くなっているのに、勝率が上がるのか十分にわかっていません。おそらく、ダートで斤量が重い馬は、比較的平均レベルの低い(もしくは有力馬が重い斤量になるためスローペースになる)レースに多く、その中で勝っている傾向があるためであると考えられます。

重要な回収率についてですが、ダートの場合芝に比べてわずかに斤量が重い方が複勝回収率が上がっていますが、影響は僅かです。その他の条件も同様に斤量と回収率の関係に影響を与えないようです。すなわち、回収率だけを考えれば、どの斤量の馬の馬券を買っても、期待値を稼ぐことは難しいようです。競馬は難しいですね。

別定戦で期待値を稼ぐためには?

これまでの分析では、別定戦の斤量は適切なハンデとなっており、条件別にみても斤量を利用して期待値を稼ぐことは難しいという結論になってしました。

これでは面白くないため、別定戦の斤量が回収率与える影響になんらかの傾向がないかを調べて見ました。これは一例ではありますが、過去走のレースレベルで分けると一定の傾向が見られ、別定戦の斤量で稼ぐための戦略が見えてきます

別定戦では獲得賞金額や勝利数によって機械的に負担重量(斤量)が決められます。そのため、過去走においてレベルの高いレースで勝利してきた競走馬であれば、相対的にその能力を埋めるほどの斤量ハンデを負担していない可能性があります(機械的に決まる斤量を超えて強い)

まずは過去3走のレースレベルを、過去走レースの1着2着3着馬の補正タイムの平均値により算出し、過去走レースレベルが上位の3分の1に入った競走馬をサンプルに、別定戦における斤量と回収率との関係を見てみましょう。

図4がそのグラフになります。横軸が斤量、縦軸が回収率です。このグラフを見ると、明らかに斤量が重いほど回収率が高くなっていることが分かります。すなわち、過去走でレベルの高いレースで勝利してきた馬であれば、別定戦においても能力差を埋めるほど斤量ハンデにはなっておらず、かつ、競馬ファンの方々もそれを見抜けてはいないことを意味します。

図4 過去3走レースレベルが高い場合の斤量と回収率の関係

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(この傾向は前走のみで分析した場合も同じです)

なお、過去3走のレースレベルが低い、もしくは中程度の競走馬のサンプルでは、こうした関係性は見られませんでした。

過去走のバイアスやレースレベルを分析することは回収率を高めるための競馬の基本ではありますが、競馬ファンの方々もその分析は不十分である可能性があります。そこに付け入り、過去走のレースレベルが高い馬を見抜くことができれば、別定戦において斤量の重い馬を買い、回収率を高めることができます

まとめ

この記事の内容をまとめると下記のようになります。

  1. ハンデ戦とは異なり、別定戦では斤量は各競走馬の能力差を埋める適切なハンデとなっている
  2. そのため、別定戦においては予想を行う際にしっかりと斤量の影響を見極める必要がある
  3. 斤量55・58・59キロは回収率が高く妙味がある。
  4. 斤量51~54、57キロは回収率が低くなっており、危険なゾーン
  5. 斤量の影響は特に、ダート、牝馬、長距離において大きい。
  6. ただし、斤量と回収率の関係に明確な傾向は見られず、単純な斤量分析では、期待値を稼ぐことはできない
  7. 別定戦においては、過去走のレースレベルが高い馬は斤量が重くても十分なハンデとなっていない。
  8. そのため、過去走レースレベルが高い馬であれば、斤量が重い馬を買うことによって期待値を稼ぐことができる

個人的には、ハンデキャップ委員会の方々が決めるハンデ戦では斤量は適切なハンデとなっておらず、計算式によって機械的に決められる別定戦では適切なハンデとなっている点が面白いと思いました。こういうのはやはり機械的に決めないとダメなんですかね。

また、馬券市場はそれなりに効率的であり、斤量を含め様々な情報がオッズに反映されているため、斤量を使った単純な予想戦略では期待値をとることは難しいです。

ここにおいて、過去走のバイアスやレースレベルの分析の重要性を実感しました。競馬は情報のゲームであり、期待値を高めるための情報を多く考慮している方が、他の馬券購入者を出し抜いて稼ぐことができます。今後もいろいろと期待値を高める情報を分析できたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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